後継者が絶対に知っておくべきこと
後継者の方が、絶対に知っておくべきことに、「余裕があるうちに、次の手を打つ」ということがあります。
後継者には、最初からある程度の「お金」と「時間」があることが多いです。
しかしそれゆえにその状態に安心してしまうと非常に危険です。
なぜなら、先代がやってきたことと全く同じことを続けていれば、おそらく後継者の代では行き詰まることが確実だからです。
そして、いよいよ行き詰ったときに動こうと思っても、その時には往々にして資金的余裕はなくなっていますし、目の前の仕事をこなさないといけなくなり、時間的余裕もないことがほとんどです。
仮に時間があったとしても、新しい取り組みがすぐに花開くことはありませんので、いずれにしても資金がもたない可能性が高いです。
私は多くの事業承継の事例を見ていて、後継者の代で経営が上手くいかなくなるケースの多くはこのパターンだと感じています。
先日、とある製造業の会社の見学に行ってきました。その会社は現在4代目の社長が経営している老舗企業です。
その社長からお聞きしたのですが、社長が子供のころは、その地域の多くの会社が、大手メーカーのOEM生産を請け負っており、その会社でも9割がOEM、自社の商品はわずか1割だったそうです。
それでも当時は、とにかくOEMで大量生産していれば儲かっていたため、地場の多くの企業はそうしていたそうです。
しかし当時の社長(現社長の父)が、このままOEMに頼っていては、大手メーカーが生産量を減らした途端、会社は潰れると思い、その地域の中でも早々にOEMからの脱却をされたそうです。
9割の売上を失うわけですから、会社は非常に厳しい状態になりましたが、過去の蓄えがあるからしばらくはやっていけると当時の社長は考えたそうです。
その後、自社商品を開発することで、見事会社は存続することができました。一方OEMを続けた他の企業の中には、大手が生産量を減らしたときに経営が行き詰まり、廃業してしまったところが何社もあったそうです。
当時の社長が、この判断を下すのには非常に勇気がいったと思いますが、変化しないことは、結果的に廃業につながると気付いていたから決断できたのだろうと思います。
人間は「変化を嫌う」生き物です。
ましてや現状特に困っていなければ、あえて変化しようとも思わないでしょう。
しかし例外なく長期間生き残っている企業は、変化し続けた企業です。
そのことを知っていただき、後継者の方には是非新しいチャレンジをしてもらいたいと思います。